Hit, Emit, Eight

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わかってないんだ、たくさんの人が普通の人間になるためだけにどれだけの努力をしてるか。そっちからしたら、人と人のあいだには平凡と偉大の違い、一番とそのほか全部の違いしかないかもしれないけど、そんなことはないんだよ。平凡の下で這いずり回っている人もいれば、そっちが"平凡"と呼ぶような人々に唾を吐きかけられる人もいるし、日常生活を過ごすだけで全力を使いはたしてしまう人もいる——もう走ってない私だって、そういう人間なんだよ。どうしてわからないの……いや、ほんとうに理解できないのかもしれない、だってこの"普通"はそっちにとって簡単すぎて、どんな努力も払わないで"普通の人間"のなかで抜きんでることができて、そして限られた天才を見上げてひとり悔しがるんでしょ。でも私からすれば、そんなことを考えること余裕なんてなくて、その悩みは贅沢すぎる。だったら、あなたみたいな人にあこがれることのなにがいけないの?(『雪が白いとき、かつそのときに限り』)